学生・研修医の方へ

先輩が語る第三内科

なぜ第三内科を選んだのか、入ってからの印象、これからの第三内科について、座談会形式で話してもらいました。
参加メンバー
  • 園田紀之先生(司会)
  • 伊藤淳先生
  • 土師正二郎先生
  • 植田圭二郎先生
  • 北島慶子先生
  • 津田麻理子先生
  • 中村慎太郎先生
  • 北川祐介先生
  • 原田林先生

今日は臨床の現場の第一線で活躍している第3内科の医員と臨床大学院で研究中の先生、入局を決めたばかりの研修医の先生から、「入局を決めた理由」「3内科でこんなことを学んだ」「今後こうしていきたい」など、皆さんの生の声を聞きたいと思います。研修医や医学生の皆さんに入局や進路決定の参考になればと思い、この座談会を企画しました。
まず、3内科へ入局した動機ですが、糖尿病研究室の伊藤先生はどうですか?

伊藤僕が3内科の糖尿病研究室に入るきっかけになったのは、やはり自分が1型糖尿病だったというところです。それと研究や臨床に非常にアクティブな研究室で、先輩の先生方の雰囲気も自分に合っていたということも大事な要素でした。学生実習でまわった時にすでに入局を決めていました。

伊藤先生の場合は入局の決定が特に早い方だとは思いますが、一方で学生の時にこういう専門分野に進みたいと思っていたけど、実際に研修医として患者さんを担当した時に、気持ちが変わってくる人もいると思います。中村先生は最近、3内科への入局を決めたばかりですが、どうですか?

中村実はもともと内科以外の他科への入局を考えていましたが、実際に研修をしてみて3内科に魅力を感じました。特に糖尿病は患者人口が増加しており、多彩な合併症と病態を評価していくプロセスや、治療薬の幅があることなど、とても面白い分野だと思いました。
3内科で研修をさせていただいて、最初に思ったのは、すごく自分を「受け入れてくれる」ということでした。科の雰囲気もとても良く、指導も熱心で時には厳しかったのですが、先輩の先生方には親身に相談に乗って頂き、研修医にとってみれば、これ以上の環境はないと思いました。いろいろ悩んだのですが、最終的には3内科へ入局し、糖尿病研究室へお世話になることに決めました。

研修した後に、もう一度しっかり自分自身の進む道を考えてみるのも良いのではないかということですね。3内科の勧誘はどうでしたか?

中村はい!食事会などに何度も連れて行って頂いてとてもありがたかったです。

一同

中村実際とてもフランクな雰囲気で、仕事中には先輩の先生方には聞きにくいことや、これからのキャリアパスについても、様々な選択肢があることを丁寧に説明して下さいました。

今後は新専門医制度の開始により内科の全領域の研修が必要となりますので、入局に最適な時期が変わってくるかと思います。3内科では関連病院と協力してより有意義な研修が受けられるよう現在カリキュラムを作成しているところです。
それでは、ローテートしてくる研修医への指導について伺います。病棟医長の私から見て、とても論理的かつ熱く指導されている血液研究室の土師先生、研修医を指導するにあたって心がけていることなどありますか?

土師そうですね、私自身初期研修終了からまだ4年しかたっていないので、研修医の先生たちが「分からない」という気持ちがよく分かります。研修医の先生が何もわからなくて当然だというところで、一緒に楽しんで診断や治療をしていくということが一番大事だと思います。
あとは専門性というか、血液学を知ってほしいというよりも、内科学を好きになってほしい。エコーであったり、診察であったり、そういった一般内科の知識を研修中にぜひ身に着けていただきたいなと…僕も研修医のころはそういうのがすごく楽しかったのを覚えているので。

本当に大事なことですね。
研修医は、はじめから自分でどんどん診療手技ができるわけじゃないですけども、そういう点で消化器研究室の北川先生はどういう感じで研修医の指導を心がけていますか?

北川実際に病気に触れさせるというか、カメラ(内視鏡)もそうですけど、研修医になるべくカメラを持たせてあげたいというのが根底にあります。僕自身そうだったのですが、やはり実際に手を動かしてみたら見ているだけとの違いが分かって、それでまた勉強して、また触らせてもらってという繰り返しで、どんどん興味が湧いてきたものです。まずは実際に触らせてどうだったかを聞いて、興味を持ってもらえるようにしてあげたいなと思っています。

ありがとうございます。臨床の現場では教科書や理論だけではなく、積極的に経験を積むことが大事ということですね。では次に、3内科の関連病院での印象について伺います。内分泌研究室の北島先生どうでしょうか?

北島私は、初期研修は2年間、九州大学病院外の病院で研修しました。そこで勤務されていた尊敬できる3内科の先生に出会ったことが入局のきっかけになりました。

その先生は、本当嬉しいと思いますよ。

一同

北島3年目は九大別府病院、そのあとに小倉医療センターで研修して、今は九州大学病院で勤務していますが、最初は内分泌・糖尿病総合コースでした。そこではリウマチ膠原病と内分泌・糖尿病を半分半分研修していまして、今、自分が専門とする内分泌以外の分野にも触れることができたということと、甲状腺の細胞診などの手技が身についたのはとても貴重で、ありがたい経験でした。

3内科の研修の特徴として、北島先生が選択された総合コースというのがあります。このコースだと将来の自分が選択する専門以外へも視野を広げて勉強することができます。あるいは専門性をまだ決めかねている場合もこういったコースは有用と思います。北島先生、続けて頂けますか。

北島はい。小倉医療センターは3内科関連の先生が多かったので、相談もしやすいというところがあるのですが、本当に人格的にも素晴らしい先生たちが多くて、きちんと指導もしてくださいました。比較的私は色んなところに行っているので、地域の「疾患」に触れたり、地域の「人柄」に触れたりして、それはすごく良かったかなあと思います。

北島先生、ありがとうございました。
では次に肝臓研究室の原田先生、先生は病棟医員のリーダー的存在であり大学病院ももう丸3年になりますね。今は完全に若手の医員や研修医を指導する立場ですが、肝臓の実際の手技などは、大学に戻る前に3内科関連病院で勉強されてきたと思います。その辺りの経験を伺えますか?

原田肝臓研究室も、本当にいい先生たちが揃っていますね。そして必死に手技を覚えないといけないというような印象があまりなくて、日々少しずつこなせる量が増えていき、考えられてないかのように見えて、後から振り返ってみると、どういう順番で教育していくかがしっかり考えられていると感じました。どこを廻っても、自然に大体処置や手技は一通り、こなせるようになっていると思います。

なるほど、実践を通して指導が行われ、最終的にはしっかり身に付いているということですね。大学と関連病院では疾患も少し違っていると思いますが、その辺はどういう風に感じられました?北川先生。

北川そうですね、2年間 北九州市立医療センターだったのですが、そこでは食道、胃、大腸のESDを中心にやっていたのと、あとは化学療法でした。大学ではどちらかというと機能的な疾患が多いです。例えば食道疾患、逆流性食道炎ですとか、原因がよく分からない患者さんの精密検査に携わることが多くなりました。潰瘍性大腸炎、クローン病などの慢性疾患の患者さんと密に接することも多く、患者さんと一緒に、どう病気と向き合っていくか、非常に考えさせられました。大学と関連病院の両方で、非常に貴重な経験ができました。

ありがとうございます。
さて、膵臓研究室の植田先生の場合は、手技なども一応一通り研修して病棟の医員としても働き、現在は臨床大学院生ですね。これまでの大学時代を振り返って後輩にメッセージなどありますか?

植田やっぱり臨床の現場に行くと、どうしてもその日その日を患者さんに費やして、何とかその患者さんがよくなることだけ考えて過ごしていたのですが、大学院に行くことで、疾患そのものに対する知見を深めることができたと思います。特に今の研究室では膵臓の内分泌腫瘍の国際的な治験にも参加していまして、その最新の知識が増える良い環境で、とても勉強になります。あと厚労省の研究班にも参加させていただいて、全国的なガイドラインとかの作成にも携わらせてもらっています。疾患概念に対する根源的な考え方や、日本の医学全体に関する仕組みとかを学ぶことができています。基礎の研究の方は臨床と違ってなかなか上手くいかなかったりで、苦労することも多いのですが、その分とても面白いです。基礎研究を進めていくうちに、論文一つに対しても見え方が変わってきましたし、今まで勉強してきた臨床のデータやその結果をまた違う角度から見ることができて大変勉強になります。

植田先生は大学院をもうすぐ卒業ですが、これまでのことを活かして、今後どういうことを考えておられるか教えてもらっていいですか?

植田まず直近の目標は博士号をとり大学院を卒業することです。4年間じっくり勉強させていただいたことをもとに、内視鏡的な手技もいろいろ教えていただいたので、臨床の一般病院の方でその経験を生かして、一内科医としてまずは頑張って行きたいと考えています。留学などもチャンスがあれば、ぜひ、してみたいと思います。

ありがとうございます。大学院への進学を考えている人たちへとても貴重な意見でした。土師先生は4月から基礎の大学院へ進学が決まっています。将来に対する希望や展望などを話してもらっていいですか。

土師そうですね、まだやってないので何とも言えないところではあるのですが、医学的ないろんな事象を科学的に解析するということですね。科学的に判明していくっていうことに非常に興味があります。例えば発熱ひとつとっても、どういう経路を通じて発生するのかという…そういったことが分かれば、疾患に対する見方がまた変わってくるので、そういう視野を身につけたいです。あとは第一線の研究室に身を投じてみて、結果が出るかどうかはわかりませんが、自分の人生の経験というか糧として活きるといいなあと思っています。

ぜひ頑張ってください。
最後に今度入ってくる研修医の先生に向けての皆さんからのメッセージを聞こうと思います。原田先生いかがですか。

原田何も心配無用です。3内科はとても働きやすい職場です。皆さんと一緒に学び、臨床の現場で患者さんに最善の医療ができることを願っています!

では北島先生。

北島本当に素敵な女性の先生方が、大学でも外でも働いているので、すごく働きやすい環境です。普通にバリバリ仕事されている方もいらっしゃれば、結婚して出産して復帰される人も沢山いらっしゃるので、先輩方の背中を追って活躍していけます。

そうですね、3内科は多くの女性医師が活躍している科です。女性の立場としての働きやすさとか、そういうところはどうですか?津田先生。

津田私の同級生にも3内科に入っている女性が複数人います。もう結婚して育児に専念している人もいれば、家庭を持ちながらも臨床医として働いている人もいますし、大学院で研究を続けている人もいます。結婚した後、科によっては出来ることが狭まれるところもあると思うのですが、3内科の場合は女性も重要な戦力となっているので、きちんと休みたい人は休む、働きたい人はちゃんと働けるっていう仕組みが整っているのではないかと思います。

津田先生、先生が研修医としてローテートして来た時のことを私もよく覚えていますが、もともとポテンシャルが高いと感じていましたが(笑)、ここ数年で驚くほど成長されたと思います。これからの将来展望をどう考えていますか?

津田そうですね、研修医の時すごく楽しかったっていうのが3内科に入った理由なのですが、3年目になった今でもやはり病棟での診療は楽しいなあ、と思います。ただ、もっと臨床をしていきたいなあと思っている反面、やっぱり研究もしておきたいというのがあります。一般病院だったら、ガイドラインに沿って治療方針を決めていくことが多いのですが、大学にいるとガイドラインでは対応できないような難治性の患者さんも多く診療します。より深く掘り下げていくためにも研究をやっていくのが大事と感じていますので、将来的には大学院に進学して、思考力をつけたいと思っています。

ありがとうございます。津田先生は熱心に研修医の先生にも指導してくれていますね。医員室で即席に繰り広げられる抗生剤の使い方の講義や議論とかは、僕も病棟医長の仕事をするふりして背中で聞いています(笑)
次に、北川先生にこれからの目標を語ってもらいましょうか。

北川僕は消化器内科医ですが、色んな訴えを持って来られる患者さんがいて、その訴えを取り除いてあげられた時が自分としても最もやりがいを感じています。まずはやっぱり目の前の患者さんを一対一で、患者さんの気持ちを考えながら、一人でも多くの患者さんと接することができたらなあと日々考えながらやっています。自分の手技もそうですけども、消化器以外の疾患にも、もう少し目を向けて、それらを患者さんに還元できたらなと思いますね。

本当の意味で内科医としてのプロフェッショナルになる、技術を伴いながらその患者さんの心も体も診る、専門性と一般性を両立させるということですね。
伊藤先生、今後の目標をお願いします。

伊藤僕の場合は飯塚病院で3年間研修し、最初の2年間は疾患をしっかりみることができ、3年目はちょっと余裕ができたので患者さん自身をみることができ、大学に戻ってきて糖尿病の患者さんの全身をみることを学ばせていただきました。最終的には基礎的なことをしっかり固めていく必要があるのかなと感じています。自分が今まで臨床の現場でやってきたことをしっかり裏付ける知識を今は大学で学ばせていただいています。また4月から臨床大学院生として研究を頑張り、自分が1型糖尿病なので1型糖尿病の患者さんにそれを還元するというところを目標にしていきたいと思います。

ありがとうございます。
最後に第3内科は、研修環境が整っており、楽しくやりながらも臨床も研究も高いレベルを目指していくことが、私たちの先輩から受け継がれる伝統かと思います。是非たくさんの研修医や学生の皆さんに見学に来てもらって、入局を考えて頂ければと希望しています。みなさん、お疲れ様でした。



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