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2021.06.06 研究

非アルコール性脂肪肝疾患(NASH)の発症・進展過程におけるミトコンドリアダイナミクスの病態生理的意義に関する論文(内分泌代謝・糖尿病研究室/現 佐賀大学医学部内科学講座 肝臓・糖尿病・内分泌内科 助教 武市幸奈先生 他)が、Diabetologiaに掲載されました。

近年、ミトコンドリアの形態異常や機能障害がNASH発症に関わることがわかってきましたが、そのメカニズムについての詳細は明らかではありませんでした。本研究では、ミトコンドリア分裂因子であるmitochondrial fission factor(MFF)を肝細胞特異的に欠損したマウスを作製し、ミトコンドリアの形態や機能障害がNASHの発症・進展過程にどのように関与しているのかを解析しました。
本研究により、慢性的な脂肪酸負荷に対するミトコンドリア分裂応答不全がミトコンドリアの形態異常と機能障害をもたらし、肝細胞のERストレスやアポトーシスを誘導し、中性脂肪分泌を抑制することで肝臓への脂肪蓄積を加速させることが明らかとなりました。また、ミトコンドリアの形態異常と機能障害は、障害を受けたミトコンドリアの除去機構であるマイトファジー不全をきたし、ミトコンドリアの品質管理を破綻させることでNASHの病態進展に寄与していることが示唆されました。
今回の私たちの研究により、ミトコンドリアがNASH治療の新規標的因子となる可能性があり、今後さらなる検討を重ねてNASH領域の発展に少しでも貢献したいと考えております。ご興味のある方は下記よりご覧ください。

PMID:34052855
DOI:10.1007/s00125-021-05488-2:https://link.springer.com/article/10.1007/s00125-021-05488-2

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